生きていく上で、

「正論だけで通れば、どれだけ楽なんだろう」

と思うことがある。

正しいことを言えばいい。

間違っていることは、間違っていると伝えればいい。

原因を考えて、解決策を出せばいい。

理屈だけなら、きっとそれで済む。

でも、人間ってそんなに単純じゃない。

正しいことを言われたからといって、
人がすぐに変われるわけでもない。

正しいことを理解したからといって、
すぐに立ち直れるわけでもない。

だから私は最近、

「正論」と「寄り添うこと」は、別の力なんじゃないか

と思うようになった。
相手の立場になって考えることについて、別の記事でも書いています。 相手の立場になって考えるということ

コップをこぼした子どもに、何を伝えるのか

例えば、子どもがコップを持っていて、
飲み物をこぼしたとする。

そのとき、

「なんでこぼしたの?」

「しっかり持てば、こぼさないでしょう」

と言ってしまうことがある。

私自身も、子育てをしていて余裕がなかった頃は、
ついつい「なんで?」と問い詰めるような言い方をしてしまっていた。

もちろん、

「なぜこぼしたのか」

を考えることも大切。

次に同じことを起こさないために、

「どうすればこぼさずに持てるのか」

を教えることも必要。

これは間違っていない。

むしろ、正しい。

でも、それだけじゃないんじゃないかなと思う。

まず、

「こぼしちゃったね。じゃあ拭こうか」

と伝える。

こぼしてしまったことを責めるより先に、
今起きたことをどう解決するかを一緒に考える。

その上で穏やかに、

「なんでこぼれちゃったんだろうね?」

と聞いてみる。

そして、

「次はどうしたらこぼさないかな?」

と考える。

さらに、

「もしまたこぼしちゃったら、そのときはどうすればいい?」

も考える。

そうすれば、

「失敗しない方法」だけではなく、

失敗したときにどうするか

まで教えることができる。

私は、こっちのほうが生きていく上では大切なんじゃないかなと思う。

人に必要なのは、「間違わない力」だけじゃない

人生って、

一度も失敗しないことよりも、

失敗したあとに、どうやって立て直すか

のほうが長く関わってくる。

もちろん、同じ失敗を繰り返さないために、
原因を考えることは大切。

反省することも必要。

対策を考えることも必要。

でも、

「だから失敗するな」

だけを教えてしまったら、

失敗したときに、

「自分はダメだ」

「また失敗した」

「どうしてこんなこともできないんだろう」

と、自分を責めることしかできなくなるかもしれない。

本当に身につけてほしいのは、

「間違わずに生きる方法」ではなく、
「間違ったときに、やり直す方法」

なのかもしれない。

私は自分自身の人生を振り返っても、そう思う。

何度も間違えた。

何度も同じようなことを繰り返した。

頭では分かっているのに、
また同じところでつまずくこともあった。

それでも、人生は一度間違えたら終わりではない。

また考えればいい。

やり直せばいい。

方向を変えればいい。

だからこそ、

「間違わないようにしなさい」

だけではなく、

「間違えたら、どうしたらいいか一緒に考えよう」

と言ってくれる人の存在は、大きいんじゃないかなと思う。

正論は、誰にでも分かる。でも、寄り添いは人によって違う

正論って、分かりやすい。

「借金があるなら使わなければいい」

「失敗したなら反省すればいい」

「怒らずに話し合えばいい」

「嫌ならやめればいい」

言っていることは間違っていない。

でも、

正しいことと、今その人ができることは別。

そこに、人間の難しさがある。

頭では分かっているのにできない。

やったほうがいいと分かっているのに動けない。

変わらなければいけないと分かっているのに、
どう変わればいいのか分からない。

そんなことは、大人になっても普通にある。

だから、

「そんなの当たり前でしょう」

と言うだけでは、
その人が一歩進めるとは限らない。

時には、

「分かってるよな」

「でも、今はしんどいんだろうな」

と、その人がいる場所まで一度降りてあげることも必要なんだと思う。

それが、私の考える「寄り添う」ということ。

何でも肯定することでもない。

間違いを見逃すことでもない。

甘やかすことでもない。

正しさを伝える前に、相手がその正しさを受け止められる状態なのかを考えること。

それも寄り添いなんじゃないかなと思う。

私自身、最近「正しさ」に寄りすぎていた

これは、最近の自分自身にも感じている。

私は最近、人に疲れていた。

だから、

論理的に考える。

合理的に考える。

効率を考える。

感情論をできるだけ抜いて考える。

そうやって人と関わることが増えた。

たぶん、自分を守るためでもあったんだと思う。

感情で振り回されると疲れる。

相手の事情を考えすぎると、自分が苦しくなる。

だから、

「それって結局どういうこと?」

「じゃあ、どうするの?」

「それをする意味は何?」

と、答えや結果を求めるようになった。

その結果、

以前は感情や思いを大切にして人と関わっていた私を知っている人から、

「なんか冷たくなったよね(笑)」

と言われるようになった。

……まあ、たしかに(笑)

私の場合、極端な性格なので、
やりすぎたんだと思う。

「寄り添う」と「何でも許す」は違う

ただ、ここは自分の中でも間違えたくないところ。

寄り添うというのは、

何をしても許すことではない。

相手の間違いを、
「仕方ないよね」で終わらせることでもない。

相手の人生を、
自分が背負ってあげることでもない。

正しいことを伝えることも必要。

場合によっては、
距離を置くことも必要。

何度も同じことを繰り返す人に、
何度でも無条件に付き合い続ける必要もない。

私だって、人間だから、

「何回同じことやるねん」

と腹が立つこともある(笑)。

そして、見切りをつけることもある。

だから、

寄り添うことと、我慢し続けることは違う。

そこは、ちゃんと分けて考えたい。

それでも、正しさだけの世界は少し寂しい

今の社会は、

効率。

合理性。

正解。

結果。

スピード。

そういうものが、とても重視されているように感じる。

もちろん、それらは大切。

仕事でも、人間関係でも、
効率よく問題を解決できることは強みになる。

でも、人間まで全部それで割り切れるわけじゃない。

子どもが失敗したとき。

家族が落ち込んでいるとき。

友達が間違えたとき。

誰かが何度も同じ失敗をしているとき。

必要なのは、

「だからこうすればいい」

という答えだけではないこともある。

「そうだったんだね」

「しんどかったね」

「じゃあ、次どうしようか」

そう言ってくれる人がいるだけで、
もう一度考えられることもある。

人間は、正しい答えだけで動く生き物じゃない。

「分かってもらえた」と感じることで、初めて自分の間違いと向き合えることもある。

私は、そこを最近改めて感じている。
「他人の子育てを批判する前に、自分の子どもからどう見えるか」という記事も書いているので、合わせてどうぞ。 他人の子育てを批判する前に、自分の子どもからどう見えるか

人間関係にも、子育てにも、社会にも必要なもの

これは、子育てだけの話ではないと思う。

家族でも。

恋人でも。

友達でも。

職場でも。

もっと大きく言えば、社会でも。

正しさをぶつけ合うだけでは、
なかなか前には進まないことがある。

お互いが、

「自分が正しい」

と言い続けたら、
そこに残るのは勝ち負けだけになる。

でも、

「相手には相手の事情があるかもしれない」

と一度考えてみる。

「自分が正しいこと」と、
「相手が今必要としていること」は違うかもしれないと考える。

それだけでも、少し変わるんじゃないかなと思う。

もちろん、国際的な問題や社会的な問題まで、
単純に「寄り添えば解決する」と言うつもりはない。

正しさやルール、責任、対策が必要な場面も当然ある。

でも、その中にいるのは結局、人間。

人間同士が関わる以上、

正しさだけではなく、相手を理解しようとする姿勢も必要なんじゃないか。

私はそう思う。

正論を捨てる必要はない

私は、正論が嫌いなわけじゃない。

むしろ、正論は必要だと思っている。

問題を解決するためには、
原因を考えることも、
間違いを認めることも、
具体的な対策を立てることも必要。

ただ、

正論だけでは、人は動かないことがある。

だから私は、

「正しいことを言う」

だけではなく、

「この人は今、何を必要としているんだろう」

と考えられる人でいたい。

正しさを教えることも大切。

でも、

失敗しても戻ってこられる場所を作ることも大切。

間違ったら直せばいい。

失敗したら、また考えればいい。

一人でできなければ、一緒に考えればいい。

私は、

「間違わない人」を育てるより、
「間違っても、また立ち上がれる人」を育てたい。

そして、自分自身もそうありたいと思う。

正論と寄り添い。

どちらか一方ではなく、

正しさを持ちながら、相手の気持ちにも目を向ける。

その両方を持てることが、
人と人が一緒に生きていく上で、
本当に必要な力なんじゃないかなと思う。

 

グル子のプロフィール画像

グル子

このサイトのメインライター。失敗談から日常のことまで、思いついたことを気ままに書いています。ゆるく更新しているので、気軽にのぞいてもらえたらうれしいです。

新着記事をいち早くチェックしませんか?

新着記事のお知らせはもちろん、おすすめ記事の紹介や、著者・カテゴリー別の検索もLINEで。ここだけのちょっとした話も、こっそりお届けします。

LINEで更新通知を受け取る