この間、会社で話をしている時に、ふと考えさせられることがあった。
その従業員は、人情や配慮がある人で、仕事を頼む時にも相手の立場を考えた言葉をかける人だった。
例えば、大変な内容の仕事をお願いする時。
本題に入る前に、
「今回は大変な内容だけど、次回は少し楽な仕事を回すから、今回はこれでお願いできないか」
と、相手の負担を理解したうえで提案しながらお願いをするそうだ。
一方で、代表ともう一人の役員は、会社の利益を優先する考え方で、
「その条件が呑めないなら、他にも代わりはいる」
という考えに近く、同じような状況でも、頼まれる側に寄り添った言葉をかけるタイプではなかった。
その話をしている時に、その従業員は、
「会社として考えるなら、利益優先の思考の方がいいんだろうし、人情や上手に人を使うという考え方は、ダメなのかもしれないけど」
と言っていた。
果たして、本当にそうなのだろうか?
人は、条件だけで動くわけではない
私は、人は感情で動くことが多いと思っている。
仕事をするうえで、条件や報酬はもちろん大切だ。
けれど、それだけで人が動くわけではない。
自分のことをどう思ってくれているのか。
自分の負担を理解してくれているのか。
自分の仕事や存在を大切にしてくれているのか。
そういった日々の言葉や行動を見て、人は相手を判断している。
相手の立場に立って考えることの大切さについても、以前書いています。
相手の立場になって考えるということ
同じ仕事を頼まれるにしても、ただ要点だけを伝えられるのと、こちらの状況を理解したうえでお願いされるのとでは、受け取る側の気持ちは違う。
「今回は大変だけど、お願いできないかな」
その一言があるだけで、相手の受け取り方は変わると思う。
大切なのは、言葉を飾ることではなく、相手のことを考えているという気持ちが伝わることなのだ。
配慮は、甘やかすことではない
もちろん、仕事である以上、利益を考えることは必要だし、すべての要望を受け入れることが正しいわけでもない。
時には厳しい判断をしなければならないこともある。
ただ、利益を優先することと、人への配慮をなくすことは別の話だと思う。
相手の負担を理解することも、感謝を伝えることも、仕事を円滑に進めるための大切な要素だ。
むしろ、人を上手に使うというのは、ただ指示を出して動かすことではなく、その人が気持ちよく力を発揮できる環境をつくることなのではないだろうか。
人情や配慮は、会社の利益と対立するものではない。
論理と感情、どちらを優先すべきかという問いについても考えたことがあります。
論理で考える人と、感情で考える人。どちらが正しいのか
人が気持ちよく働けることで、仕事の質が上がり、結果として会社にも良い影響を与えることがある。
経営者こそ、人がついてくる言葉と行動を
私は、経営者こそ、人がついてくるような言葉や行動をするべきだと思う。
会社の代表という立場は、利益を生み出す責任がある一方で、人を動かす立場でもある。
従業員や取引先が、ただ条件がいいから仕事をするのか、それとも「この人のために頑張りたい」と思って仕事をするのか。
その違いは、日々の関わり方から生まれるものだと思う。
「仕事ができる人」と「仕事を任せたい人」の違いについても書いています。
「仕事ができる人」と「仕事を任せたい人」は、少し違う
「他にも代わりはいる」という考え方で人と接していれば、相手もまた「ここで働く必要はない」と考えるようになるかもしれない。
人は、必要とされていると感じる場所で力を発揮したいと思うものだ。
もちろん、誰にでも代わりがいるという現実はある。
けれど、代わりがいることと、その人を大切にしなくていいことは、まったく違う。
利益だけを追い続けた先に、何が残るのか
会社を経営する以上、利益を追求することは当然だと思う。
ただ、利益だけを見て、人の気持ちや関係性を軽視してしまえば、最終的に人が離れていくこともある。
目先の利益を優先した結果、信頼を失い、協力してくれる人がいなくなってしまったら、それは本当に会社にとって良いことなのだろうか。
人がついてくる会社は、利益だけで成り立っているわけではない。
日々の小さな配慮や、相手を思いやる言葉、約束を守る行動。
そういった積み重ねが信頼を生み、その信頼が人を動かしていくのだと思う。
仕事は、一人では成り立たない。
だからこそ、要点だけを簡潔に伝えることが効率的であっても、それだけで人が気持ちよく動いてくれるとは限らない。
相手を思う言葉や行動があるからこそ、人は応えようとするし、より良い仕事をしようと思える。
利益を考えることは大切。でも、人を大切にすることも、同じくらい大切。
会社の利益を守るために人を使うのではなく、人と一緒に利益をつくっていく。
私は、そんな考え方ができる経営者のもとでこそ、人は長くついていきたいと思えるのではないかと感じている。
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